幼なじみ〜first love〜
「こんな時間に呼び出して何言ってんだよ…」




俺は沙羅の身体を勢いよく、突き放した。




「ずっと言おうって思ってた…」




沙羅の突然の告白にただただ戸惑うばかりだった。沙羅は、俺にとっては姉みたいな存在だと、勝手に思い込んでいたから。




「蒼のことばっか考えちゃうの…眠れないくらいに……」




「俺は、絢音だけだから……。ごめん…」




「…彼女になれるなんて思ってない」




沙羅の、その大きな瞳には涙が溢れていた。




「けど…支えてあげたい…。受け止めてあげたいの…彼女に言えない事も、寂しさも…。だって今、蒼すごく辛そうなんだもん…」




「俺は大丈夫だって、言ったろ…?」




「全然大丈夫なんかじゃない!蒼が苦しんでるのは辛いよ…沙羅にもっと甘えて欲しい……」




人は、弱いもので。




辛い時、苦しい時、手を差し伸べてくれた人にどうしても寄りかかってしまう。




それは決して悪いことではないと思う。支え合うことは素晴らしいと思う。




それでも、差し伸べられた手を全て握り締めたら、自分の力さえ見失ってしまう。




俺には、誰より大切にしなきゃいけないものがある。
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