幼なじみ〜first love〜
パシッ…―――!!




蒼の左頬を思い切り、ビンタした。




「…………っつー…」




蒼は、頬を抑えるわけでもなく、ただ斜め下を向いていた。




「………行けよ」




蒼が小さな声で呟く。




「……ひとりで…帰れるだろ…?」




あたしは、泣きながら無我夢中で走り去った。




蒼に好きな人がいた




一緒に暮らしていた




あたしだけが想ってた




あたしだけが愛してた








あたしの信じていた蒼は


もう




どこにもいない……―――







こんなに
傷つくぐらいなら




こんなふうに
別れるぐらいなら




蒼を好きにならなきゃよかった




愛さなきゃよかった




愛されなきゃよかった




出逢わなければ




どんなに幸せだった…?




あたしは……




蒼の“幼なじみ”




それ以上でも

それ以下でもない




ただの

幼なじみ…―――。




もう二度と……


逢うことはないね……






サヨナラ……蒼
< 625 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop