幼なじみ〜first love〜
「涼介さんは、絢音の父ちゃんだ。今まで見てきたモノが全て嘘なんかじゃない」




「わかんない…っ…わかんないよぉ…っ…あたしは…誰……?」




「絢音…っ」




うずくまり泣きじゃくる絢音の肩を、そっと抱き寄せた。




「絢音は…絢音だよ」




絢音の悲しみが胸に込み上げてくる。俺も泣きそうになった。




「昔からずっと変わらない…おまえは、おまえだよ…」




「どうして…こんなこと…」




「絢音…おじさんもおばさんも悪くないよ。悪いのは、俺の母ちゃんなんだから…」




罪を償うには

どうすればいい




「恨むなら…俺を恨むんだ。絢音…俺を憎め…全部受け止めるから……」




「…そんなの…間違ってる…蒼じゃない……蒼は悪くない…」




「絢音の全てを壊したのは、俺の母ちゃんだから…でも…母ちゃんはいない…だから、俺を憎めよ……」




「…違うよ…蒼…誰かを憎んでなんかない…ただ…悲しいの…」




「俺は…絢音を裏切ったんだ…どんな理由があろうと…約束を破った。怒っていいんだ…絢音、我慢しなくていい…」




絢音は、俺の身体をゆっくりと離した。涙で濡れた絢音の瞳には、迷いはなかった。




「あたし、もう二度と…大切な人を失いたくない……」




「……絢音」




絢音は、決めたんだ。




「…ねぇ…蒼……」




絢音は、身体を震わせ、顔の前で手を組み、願ったんだ。




「…遊也を…助けて……ねぇ、蒼…」




「…絢…音……」




「…助けて…お願い……」




君の泣き叫ぶ声が

俺の全身に入ってきて俺の血を蝕んだ。




この約束の場所で


満天の星空の下で




今、君が願うことは、ただひとつ……―――
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