被害妄想彼氏

彼氏じゃなくなる日

月日は流れ、修司くんと婚約してから10ヶ月が経った。
この日、今日。高校を卒業する。


「真知子!」


「何?お母さん、ちゃんと起きてるよ!」


私はそう言いながら階段をおりた。


「そうじゃなくて、明日でしょ?ちゃんと準備してあるの?」


「ばっちし!」


私は指で丸マークを作ってウインクした。


「高校卒業と同時に結婚……。よく親が許したもんね」


「いや、その親アナタですから。」


母は、『そうだね』と笑ってみせた。


「じゃあ、行ってきます!」


私は玄関のドアを開けて元気に叫んだ。


「行ってらっしゃい!」


負けじと母も大声で叫ぶ。元気でよろしい。


て、私は何様だ。そう思いながら小さくため息をついた。


「真知子!」


「由梨!」


由梨は、ここ数ヶ月、学校を休んでいた。妊娠してからつわりがひどかったらしい。


「大丈夫なの?」


「うん。なんとか!」


由梨は幸せそうに笑ってみせた。


母の顔って感じ……ってまだ早いよ。


「私もお腹が目立たないウチに式挙げたいな!」


「じゃあ一緒に挙げる?」


「そうしたいけど、真知子達の式明日じゃん!無理無理無理だから~」


無理何回言うねん…。


そう、私と修司くんは明日式を挙げるんだ。
卒業したらっ…て言ってたけど、早すぎないですか?


「籍はいつ入れるの?」


「式が終わってからか、次の日かな。式場の人と明日の事で話とかあるから今日は無理っぽいし」


「なるほどね~。明日、つわりがあってもちゃんと行くからね!」


由梨はガッツポーズをして言った。
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