被害妄想彼氏

温泉旅行

憂鬱でも、ついにこの日が来てしまった。
今日は終業式で荷物が多いし、電車で行こう…。


そう思い、電車に乗り込んだ。


「あ、真知子ちゃんだ」


その時目に飛びこんできたものは…修司くん…。


…って、なに―――!?
何故ここに修司くんが…。


「この電車いつも乗ってるんだー」


あーそうなの。知らなかった…。


「なんか新鮮でいいね。通学デートってのも」


デートってほどじゃ…。
ま、たまにはいいかな…。


…だがしかし、混んでるよね?


「狭いよな…。真知子ちゃん大丈夫?」


「あ、うん。大丈夫…」


よく見ると修司くんは私が狭くないようにガードしてくれている。


「……ん?」


ん?どした?


「お尻に違和感が」


…え?もしかして修司くん…。それまさか、痴漢?


修司くんの後ろを見ると、中年のオッサンがニタニタと笑いながら修司くんに近付いている。


「あの、修司くん。それ痴漢だと思うよ。」


「まさか。男なのに痴漢にあうわけ無いじゃん」


…おい、得意の被害妄想はどうした。
オッサンの手つきはヒートアップ。


周りの人達も不信な目で見てる…仕方ない。
うっとーしいし…。


「すいませーん、痴漢ですー」


私がそう言うとオッサンはキョドリだして、慌てはじめた。


「ち、違う!僕はこの子のお尻のゴミが気になって…」


しかも往生際が悪い。


「私も見ました」
「僕も見ました」
「おいどんも見たでごわす」


…何故おすもうさんが電車の中に?


「痴漢成敗でごわす!」


ド――ンという音とともに、オッサンはおすもうさんに成敗された。


「ん?何が起こったの?」


修司くんは痴漢された事に気付かず、次の駅で私は降りた。
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