女子高生夏希のイケメン観察記
10.まさか彼女も「関係者?」
問題は何一つ片付かなかったけれど、悔しいことに久遠さんが淹れてくれたハーブティーの効果はてきめんで、私は翌朝すっきりと目覚めることが出来た。

ちなみに、お三方はどこぞの和室で雑魚寝したのか、それぞれ別の部屋で休んだのか。
それとも、智さんと久遠さんは二人きりでめくるめく夜を……。

いや、それは嘘であって欲しいとはいえ。
真実は、私のあずかり知らぬこと。


「夏希、本気で俺が智と寝たと思ってんだろ?」

花屋のお客さんがふっと途絶えた途端、店先に居ながら雑談しかしていなかった久遠さんがカウンター越しに私を覗き込む。

久遠さん、別に帰っても良かったのに一人で仲間はずれにされるのは淋しいのか、勝手に店に出て手伝っているのだ。

狭い花屋の店先に、着物姿じゃさぞ動きづらいと思うのだけれど、それがまた、ルックスのせいか何のせいか。

え? キャラのせいか人柄のせいじゃないかですって?

それは認めたくないんだけど。


とにかく、お客様へのウケがいい。
竹を割ったような物言いのせいか、迷っている人に花を勧める手腕は大したものだった。


……ふぅん。
遊び人の癖に仕事も手際がいいなんて。
私はなんだか少し面白くない。
それを見抜いて、久遠さんは声を掛けてきたんだと思う。
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