女子高生夏希のイケメン観察記
えーっと、あれですか?
新米にしてその風格?

「失礼なヤツだな。
 こんなことなら茶を点てて見せてやれば良かった」

本気かしら。
本気でぶつぶつ言ってるのかしら、このお方。

仕方が無いので、足りない頭から言葉を探す。

「……お茶の淹れ方なら、その。
 紅茶の淹れ方を見ても、所作とか素敵だなーとは思ってました、けど」

「だろ?」

にやり、と形の良い口許が歪む。
このご自愛っぷりは、私の担任に勝るとも劣らないんじゃないかしら……。
なにやら、風邪の引き始めにも似たぞっとした感覚が背中を走り去っていく。

……悪寒?

ききーっと、乱暴にうちの前に車を止める。
なぁんってうちのボロ家にそぐわない高級車なのかしら。

嫌だわ。
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