女子高生夏希のイケメン観察記
7.喫茶店マスターは「ママ?」
光陰矢のごとし、命短し恋せよ乙女、そして誰も居なくなった……。

いや、とにかく。
いろんな言い回しがあるとは思うけれど。

和風イケメンにつられて、奏さんの店でバイトを始めて10日間。

あっという間過ぎて、もう、何がなんだか覚えてない感じ。
幸いにも、奏さんブームは過ぎたのか、お客様が少しずつ減ってきたのは良い傾向!

なぁんていう私の心の声を、店長に聞かれたら笑顔で殺されそうだから、黙っておくけれども。


とにかく、そんな感じで気づけばもう、夏休みもあっさり三分の一が経過していた。

私、海にも山にも行ってないし。
おまけに、智さんは何故か「しばらく刀作りに没頭してくるー」なんて言い残して、出かけてしまったっきりだし。

お陰で、貞操の危機はおろか、キスする関係にも発展してないんですけどっ。
っていうか、あの翌日以降、お姿すら拝見して無いんですけどっ。


進歩したものと言えば、花の名前にやたらと詳しくなったくらいなもんよ。
後、ラッピング技術もものすっごく向上した、気がするわ。


ああ、これって、すごく可哀想じゃない?

……私の大事な夏が、何者かに(いや、間違いなくにこにこと甘い笑顔を浮かべているそこの店長に、なんだけど)奪われていくぅう~~。
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