女子高生夏希のイケメン観察記
「だったらいいんだけど。
 トランスした俺が何か言って、夏希ちゃんを困らせたのかと思って」

す、鋭い。
その優しい声音に心が揺れる。

「伊達さんが言うには」

「ダテ?」

智さんの動きが止まった。
その瞳が一瞬、鋭く光る。

「……なんでも、ないです」

私は智さんの傍を抜け出して、刀を片付けに向かった。

「智、送ってく。
 智の車は、久遠が乗って帰るって」

何か言いたそうに私を見ていた智さんを見つけた奏さんが、有無を言わさぬような態度で智さんに声を掛ける。

「分かった。
 奏、俺、長い間トランスしていた割には今回、元気なほうだと思うんだけどさ。
 何やってたか、教えてよ」

智さんは何でもないような涼しい声で奏さんに問う。
奏さんはにこりと人懐っこい笑顔を浮かべる。


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