ベイビーベイビーベイビー
 

《 ――お見合いねぇ。
 そりゃぁ、麻美がまた東京に住んでくれたら嬉しいよ。だけど結婚よ?
 条件だけで決めちゃっていいの?》

 結局一人で考えていても答えが出なかった麻美は、昼間から東京に住む友人の一人に電話を掛け、このところの麻美に起きた一連の事情を話し、聞いてもらっていた。


「お見合いっていっても、単なる出会いの手段よ。それに私だって心を持って生きてるんですからね。条件だけで決めるわけないでしょう?」


 “見合い”というと相手の条件だけに重きを置くようなイメージがあるのだが、麻美は決してそうは思っていなかった。

 これから始まるまだ長く続く未来、その長い年月を好きでもない相手と共に過ごすつもりなど、麻美には更々なかった。



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