ベイビーベイビーベイビー
 

「今 手術して貰っていますが…
 意識が戻るのか戻らないのかは、何とも言えないそうで…」

 覚悟を決めていたとはいえ、その余りに大きな現実を前にした綾乃たち家族。


「そんな、まさか……」


 まるで思考を巡らす回路を断たれたかのように、祥吾の家族同様に立ち尽くす他なかった。

 今は綾乃と祥吾が別居し、言葉を交わす機会が減ったとはいえ、綾乃を通して長年関わってきた祥吾は、綾乃の両親にとっても息子同然であったから。


「仮に意識が戻ったとしても、何か障害が残る可能性が大きいって……。
 もう、何と言えばよいのか分からんですよ」


 昨年還暦を迎えたばかりの祥吾の父親が、声を搾り出すように呟く。


「何でこんな若さで……」

 綾乃の両親はそれ以上、言葉が続かなかった。



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