ベイビーベイビーベイビー
 
 いつだったろう、祥吾は真理江に対し、

「真理江は自由なのだから、好きにすればいいんだよ。
 いいかい、僕に縛られていることはないんだ」

と告げたことがあった。

 それは勿論、祥吾の愛情からであった。

 祥吾は真理江の可能性を奪いたいなど、少しも思っていなかったから。


 祥吾の言う通り、真理江はまだあらゆる可能性をもつ“自由の身”であった。

 しかしその“自由”こそが、真理江を苦しめた。

 自由になること、それは真理江には“孤独”でしかなかった。


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