ベイビーベイビーベイビー
十、ベイビーたちのプライド

Pride1 綾乃

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 五月六日、この年のゴールデンウィークの最終日。

 連休中はすこぶる良い天気に恵まれていた東京であったが、ここにきて 朝から分厚い雲にすっぽりと覆われていた。

 それはもう、雨が降りだす一歩手前と言った感じで、街を行き交う人々も思わず天を見上げてしまう危うい空模様だ。


 その日、祥吾の実家近くにある斎場では、若くしてこの世を去ることになった祥吾の告別式が執り行われようとしていた。


 祭壇の中央を見れば、さっきまでそこにあった笑顔を切り取ったように生き生きと笑う祥吾の写真が飾られている。

 旅行などに出かける事も少なかった祥吾であるから、祥吾の暮らしていたマンションを探ってみても、昨今撮られた写真は想像以上に少なかった。

 葬儀を目前に、どうしたものかと祥吾の両親たちは困惑していたのであるが、会社の同僚より通夜の前に届けられた写真の中にあった、正に新規プロジェクトチームの真ん中にいて、飛び切りの笑顔で収まった祥吾が正に祥吾らしく、迷う事無くその一枚が祭壇の中央を飾る事となったのだった。
 

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