ベイビーベイビーベイビー
十二、ベイビーたちの日常、再び

Real 1 彰人

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 大型連休が明け、彰人の勤める商社も静かに稼働を始めた。

 とは言うものの、彰人のいる経理課を見れば、月初の出勤により前月分の計上を終えてから連休に入ったのもあって慌しさはなく、正に休み明け特有の気だるさを纏った面々で溢れていた。


 朝からデスクの片隅には、この4連休の間に出掛けた社員たちからの土産の菓子が、彩りよくバラバラと配られた。

 それは各々がこの連休を楽しんだ証のようで、その小さな菓子の山からは、未だ浮き浮きとした感情が放出されているようであった。


 可笑しな事に、よく見ればその中に、彰人が熱海からの帰りに在来線の駅で買った海老煎餅も含まれていた。

 出社するや「熱海の土産です」と言って年長の女性社員に煎餅を渡したのであるが、

「あらまぁ、熱海?いいわねぇ」

などと言って変に羨ましがられた。


 彰人はこれに何とも返事の仕様がなくて、ただ苦笑いを浮かべただけであった。



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