ベイビーベイビーベイビー
 

「止まればいいじゃない…」

 冴子は胸が締め付けられる思いでそれを聞いた。



 いつからか真理江は思っていた。

 長く続いたハードルを跳び越した先で、何か見い出す事ができるかもしれない。

 あるいは、跳び終えた先にあるものがこの世の終わりかもしれないし、自分の終わりかもしれない。


 けれど 今はただ、走るのを止めてしまう事が――…

「怖いのよ」

 自分がしていることを否定してしまえば、自分が信じることを否定してしまえば――…


 その時こそ 自分という小さな人間がどうなってしまうのか分からないことが、真理江には理由もなく怖く感じられるのであった。







〜『ベイビーたちの計画』 真理江 〜

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