Black Light

「ここに入って分かったことはさ。
誰も人を殺したくて殺してるんじゃないってことだった。

小さい頃からこういうことが当たり前だって教えられてきたら、絶対こんな風になるに決まってるよ。


この11年、何度も思ったんだ。
俺も同じことを繰り返そうとしてるんじゃないかって。

何度も何度も東国と同じ状態になる国を見てきてさ、しかもその張本人は俺で…

それでも後悔より憎しみの方が強いんだって、そんな風に自分を騙してここまで来た」


「湊は…
もう分かったの?

誰が…湊の両親を…」


「分かったよ」



“分かったよ”

胸に突き刺さる言葉

もう

何もかも終わりだ



「あの日が最初で最後のチャンスだった。
普通の状態じゃ本部になんて絶対潜り込めないのに…

それなのにあの日は違った。
政府の人間もここの上層部もほとんどネバーランドにはいなくて…
チャンスだと思ったんだ。

だからあの日、本部に足を踏み入れた。
もう何年もそのことしか考えてなかったから、本当に心が震えたよ」



湊の瞳は私の全てをしっかりと捕らえ

その状態から解き放つことはない


緊張により汗が

全身からジワジワと染み出てくる



< 141 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop