Black Light
「ここに入って分かったことはさ。
誰も人を殺したくて殺してるんじゃないってことだった。
小さい頃からこういうことが当たり前だって教えられてきたら、絶対こんな風になるに決まってるよ。
この11年、何度も思ったんだ。
俺も同じことを繰り返そうとしてるんじゃないかって。
何度も何度も東国と同じ状態になる国を見てきてさ、しかもその張本人は俺で…
それでも後悔より憎しみの方が強いんだって、そんな風に自分を騙してここまで来た」
「湊は…
もう分かったの?
誰が…湊の両親を…」
「分かったよ」
“分かったよ”
胸に突き刺さる言葉
もう
何もかも終わりだ
「あの日が最初で最後のチャンスだった。
普通の状態じゃ本部になんて絶対潜り込めないのに…
それなのにあの日は違った。
政府の人間もここの上層部もほとんどネバーランドにはいなくて…
チャンスだと思ったんだ。
だからあの日、本部に足を踏み入れた。
もう何年もそのことしか考えてなかったから、本当に心が震えたよ」
湊の瞳は私の全てをしっかりと捕らえ
その状態から解き放つことはない
緊張により汗が
全身からジワジワと染み出てくる