Black Light

「逃げるぞ」


湊の一言で

私はその場から必死に走った

未だに聞こえる銃声の余韻に

鳥肌が立つ



建物と建物の角に身を潜め

息を殺した



「湊…
大丈夫?」


痛々しく流血している湊の腕

あの銃弾から避けようとした際

私の上に覆いかぶさるような体勢をとっていた湊の腕に、銃弾がかすめた


あの瞬間湊は…


「…湊。
もしかして私のこと…?」


「勘違いすんなよ。
あれは全部自分のためだから」


そう言うと彼は衣服の一部を破り

腕に巻きつける


ぶっきらぼうな彼の口調に

その時ばかりは確かな優しさを感じたんだ



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