[短編集]恋花
一学年の人数が50人にも満たない私たちの学校では、卒業証書を1人1人受け取ることになっている。
代表者のみが証書を受け取るマンモス校と違って、1人1人の表情も目立ってくる。
卒業式が終わったら。
私は、アキに言わなくちゃいけないことがある。
クラスのほとんどがこの町の高校を受験した中で、私は、隣町の学校を希望した。
新しい環境で、新しい自分で新しい未来を築きたかったからだ。
その学校を受けた人は、私以外に誰もいない。