青瓶奇譚
ぼくは
「かすみちゃんはどうするの?」
と聞こうかどうしようか
迷ってしまった
それを聞いて
どうするんだろうと
ぼくは思った
かすみが卒業してどこへ行っても
ぼくにはかすみを追いかける資格もない
ぼくは……
「わたしね……」
かすみがぼくの方へ顔を向けたので
ぼくもかすみを見た
ぼくとかすみの顔はおどろくほど近くて
かすみの吐く息の温度が
ぼくの顔に伝わってくる
「わたし…アメリカに行くの」
そのときかすみの目には
涙がたまっていて
ぼくはその涙の意味を
理解してはいけないように思った