ドルチェ・シンフォニー
「あ、りーちゃんおはよっ!」
りーちゃんとは矢沢理央ちゃん。丁度一つ前の席だったらしい。
「今日から中二だね。また藍と一緒のクラスでよかったよ」
あはははと笑うりーちゃん。
「うん、私も。これから一年どうぞ宜しくお願いします……っなんて」
私はわざと礼儀正しい人のように机の上に深々と頭を下げてみる。
りーちゃんもそれに便乗して
「どうぞ、こちらこそよろしくお願い致します…って」
頭を下げる。
たまらなくなりアハハと互いに笑い合っているとガラとクラスの扉が開いた。
「HR始めるぞー」
二人して教壇の方を向くと、アレは……山田先生だ。
「うっわ最悪。私あの人嫌いなんだよねー」
りーちゃんはそう一言言うと、椅子から立ち上がる。
あ、いけないっ!
私も立ち上がると、前を向いた。礼。着席。
確かに私もあんまり好きなタイプじゃないかな………。
山田先生はなんというか中年太りな感じのオッサンで、女子からの人気はあまり無い。だが、教育熱心なところは保護者に評判がいい先生なのだ。
ま、いっか。
山田先生は自分の自己紹介を軽くして、一年の時と同じように勉強について語ったり、予習・復習の大切さをひたすら説いたり無駄としか言いようがないことをうだうだと述べている。
「ふぁ~あ……」
私が欠伸をし始めるころ、ようやく山田先生は話に区切りをつけた。
「では、少し時間が余ったので皆は知ってるとは思うがクラス全員自己紹介をしろ。先生は初めて持つような奴もいるからな」
「「「えーーー」」」
ブーイングなど全く気にせずに山田先生は話を進める。
「名前と趣味を言うだけでいいから。出席番号1の人から順々に言ってって」