冬物語


「…。」


「なんでこんな田舎来たんやろな。」


「わからん。なんかあったんちゃうん。」

「えぇ。やばいやんそれ。」




何がだ……



ひそひそと話しながらあたしの方を見てくる女子高生たち。




やっぱり怖い。




思わず俯きながら歩くと、いきなり肩に衝撃がはしった。



「…っ」


「ぉわっすまん!」


すごいスピードで横を通ろうとした男子生徒にぶつかられた。



「って…なんや知らん顔やな。転校生か?」



「…。」

なんて説明しよう。
っていうか、いきなりノート出して「声出ないんです」なんて言えない。




「お前むやみに走んなや!」


ポカッと後からきた男子生徒に殴られてる。


「いてっ しゃあないやんかあ。」


「ちゃんと謝らんか。」


「やからごめんて!」



なぜ若干逆ギレ入ってる…?
そしてなんであたしにあたる…。



「お前転校生か?」

後からきた男子生徒に聞かれ、


「…。」

あたしはとりあえず頷いた。



「ふぅ~ん。こんな田舎に引っ越してくるなんてお前も変わっとんな。」



「…。」


まあ確かに田舎ではあるけど…そんなに珍しいのか…?


高校の入学式なんだから色んな学校から集まってくるのは普通のはずなのに。



「まあええわ。早く行くぞ。クラス見に行かな。」


「ほんまやっ。じゃあな!」



そう言って、二人はピューっといなくなった。

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