俺はキミの生徒





「あ、そうだ、修司。

もうすぐ期末なのにこんなことしてていいの?」


『そっちこそいいのかよ?

テスト作りとか大変なんだろ?』


「うん。まあね。

息抜きもたまには必要だよ」


そんな柚木ちゃんの言葉のあとにプシュッと音がして。


『酒…かよ』


「大人の特権だもんねー!」


ははっ、なんて笑う柚木ちゃん。



『セコイな、大人。

って前もこんな話しなかったっけ?』


「したした。

修司が大人はお酒飲んでイヤなこと忘れられるからいいね、って」


うん、確かに言った気がする。

で、柚木ちゃんが本当に忘れたいことはお酒なんかじゃ忘れられない、みたいなこと言ってて。


ほんの少し前に話したはずなのに

もうだいぶ昔のように感じて。



「あと…ちょっとだね。

こうしていられるのも。」


そんな柚木ちゃんの呟きが胸の奥をチクンと刺した。


そうだ。

そうなんだ。


あと2ヶ月。

柚木ちゃんとこうしていられるのはあと、2ヶ月しかないんだ。



それまでに俺は、

柚木ちゃんとどうにか、なれるだろうか。


今以上の関係に、なることは…できるのだろうか。










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