三澤斗春とリッパー・ザ・ジャック。
ミッサー・ザ・ジャック。



「おい、ぶっ殺されてぇのか!」


扉の向こうから、ジャック犯の怒鳴り声がする。


「ひぃー……」


扉のこっちで、怒鳴られている私がいる。
お願いだから、ぶっ殺さないでください。

ジャック犯から、飛行機をジャックするなんて、非常識すぎるよ。

一生に一度もできないようなレア体験だよ。

レア中のレア。
ブルーアイズだよ。
世界に3枚もないよ。


「これ、下手したら死にますよね……」


拳銃で扉ごと撃たれたら、ひとたまりもない。


「あー、大丈夫だろ。 凶器持ってなさそうだし」


は?

三澤の発言に脳みそが止まる。


いやいや………持って……?





………いや、待てよ。


言われて気付く。
確かに、一度も『拳銃』を見てはいない。


あったのは、音と返り血。
それだけ。
他のもので、代用は可能だ。


「あの返り血、時間が経っても生々しかっただろ?」

「……普通の血なら、変色している」


と、すれば、血のり。


「だな。 それに、操縦室に来る時に、どこにも死体も、血の痕跡もなかった」


『危害を加える気はない』
……本当だったんだ。


ん。

んっ!?


ある考えに、行き当たる。


「あのー……使う気はないけど、本物を持っている可能性もあるんじゃ」

「……………てへ♪」

「てへじゃないでしょ!?」

「その時は、すまん」

「謝られても!」

もしかして私の命は、ギリギリなのかもしれない。


< 18 / 29 >

この作品をシェア

pagetop