優しい魔王と優しい勇者の悲しいお話
不意に聞こえた懐かしい声に、少女は驚いて伏せていた顔をあげました。



そこには淡い光に包まれた魔王が立っていました。



少女は信じられないというように目を見開きました。



『どうした?』



わかっているくせに、意地悪く微笑みながら尋ねました。



「あなたは相変わらず意地悪だわ…」



少女は瞳を潤ませながら微笑みかえしました。



魔王は少女の前に屈み込むと、優しく少女を抱きしめました。
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