白銀の景色に、シルエット。
亡骸





「ねぇ…まだ赦してくれないの?」


 夜よりも深い闇に落とされた私は『彼』に問う。

 また、返事は返って来ない。沈黙を決め込んでいる。

 こんな状態が続いて、もうどのくらい経つのだろう。

 一ヶ月…一年…十年…。分からない。

 私が置かれてる身の上は不規則な生活を強いられ、もうまともな理性や意識は働いていない。

 『彼』の気が向いた時にだけ睡眠を赦され、食事が与えられる。

 眠ったり食べたりしている時以外にする事は、何もせずただ生きているだけ。否、生かされている。

 いっそ殺してと喚いたのは、いつの事だったか…。

 時間感覚が狂ってしまって、もう分からない。


「赦す? お前は私に何かしたのか」

「してないわ。してない筈よ。だって私は…今まで…誰にも迷惑を掛けずに生きて来たわ…」

「本当にそうか? 全ての声が聞こえる訳でも無いのに断言するのか」

「あ…ぁ…ごめんなさぃ…。赦して下さい……」


 元々、私は人より少し裕福な暮らしをしていた。

 お金に困る事は無かったし、家族仲も良かった。

 幸せだったのに壊れてしまった。

 そう、壊れてしまったの。――どうして?


「お前は赦されない。お前の罪は一生を賭しても消える事は無い」

「私の罪…?」

「誰もお前を罰せない。だから私が代行し、お前に罰を下す」


 底無しの漆黒の世界。

 『彼』は私を、また明日も生かす。


「生きる事。それがお前への罰だ」


 愉しげにくつくつと笑う『彼』の声が、閉ざされた視界の奥で響いた。





*End...09/08/25*


――――――――――
 彼女の犯した罪とは……『彼』とは誰なのか?
 謎を残しまくってのエンディングです。
 気が向いたら、もう少し掘り下げた続編を書きますねー。
< 107 / 107 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

君恋ふる

総文字数/12,129

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
オムニバス形式ですので 主人公は毎回変わります。 特にゴールは決まっていませんので 1話1話は短く繋ぎながら 気ままに更新します。 いろいろ予想しつつ 暇つぶし程度に楽しみながら 読んで下さると嬉しいです。 タイトルは『きみこふる』と読みます。 古今和歌集からいただきました。 ちゃんと意味も掛けているのですが 追々明かしていけたらなと思います。 2014.3.16~
未来ーサキーの見えない明日までも。

総文字数/68,648

青春・友情78ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
人を好きになる事に 資格はない それでも、 人を好きになる事には ある程度の制限がある 秩序、道理、道徳 全てを無視してまでも 想う事は…… 「いけませんか?」 ×   ×   × 「To.カノンを奏でる君」 次世代編 上記の作品を先に読んだ方が 分かりやすいかもしれません
To.カノンを奏でる君

総文字数/236,962

青春・友情346ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
心臓に疾患を持つ 時枝祥多 彼を支える幼なじみ 草薙花音 二人を見守る心は乙女 花園直樹 彼らを羨ましく思う 葉山美香子 花音を強く想う 早河隆太 幼なじみ3人と 2人の少年少女を中心に それぞれの成長や恋模様 友情などを織り込みました。 成長記として読んで 下さると幸いです。 皆の視点を描き易くするため 第三者視点にしています。 少しでもアナタが得られる 何かがありますように。 ×  ×  × 感想などを残して下さると 勉強になります。 ×   ×   × 2008.7.13 完結

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop