白銀の景色に、シルエット。
焦がれ死に。





 ビュォォォッ。


「おー寒っ!!」


 数枚の枯れ葉とともに吹き荒れる風から自身を守るように、少女は身を縮こまらせる。

 その様子を見ていた少年は吹き出す。いつもの少女の様子とはあまりにも違うせいだ。


「なっ、何だよ」

「や~別に~?」

「ニヤニヤしてんじゃん!」

「済ーみーまーせーんー」

「だーっ! もう!」


 下がっている青色チェックのマフラーを上げ直す。

 マフラーに顔を埋めた少女はいつもより可愛らしく、少年は笑みを零した。


 ビュォォォォォッ。


「あーちくしょー。寒いっつーの!」

「もう秋も終わり頃だからなぁ。この風は木枯らしだな」

「秋の終わりから冬の始め頃に吹く風か」

「へぇ、知ってるんだ?」

「馬鹿にすんなよ! これでも国語だけは良いんだ!」


 向きになって言い返して来る少女に、少年は声を上げて笑う。

 そう、言い返して来る事が分かっていて少年は茶化した。


 春は桜色、夏は緑、秋は紅に染まる町並みが、冬は色がなく寂しくなる。冬に向けて色がなくなりつつある町中を歩いて行く少年と少女。

 同じ歩幅で歩く二人。いや、少年が少女の歩幅に合わせている。


「そういやさ、」

「うん?」

「木枯らしを調べた時、焦がれ死にって言葉があったんだけどさ」

「焦がれ死に?」

「人を深く恋慕うあまり、病気になって死ぬ事なんだと」

「へぇー」


 少女は難しい顔をしながら腕を組んでいる。
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