男色男爵ランゲ・ラーゲ
歓喜の朝

男爵ランゲラーゲ三世は、愛馬の雷帝号で早朝の森林を駆っていた。
木々は、朝露で濡れている。

小一時間走ると、泉に着いた。
ランゲラーゲは、馬から降り、泉の水を掬った。
ひんやりと冷たい水を口腔に含むと喉を潤し、体内に染み渡っていく。
乗馬で火照った肉体と昨夜の情事の余韻の頭脳に、ぴしゃりと鞭をいれられたようだ。

すると粗末な身なりの若者がいた。
若者は、ランゲラーゲの姿を認めるとひざまづいた。
ランゲラーゲは、領民の暮らしを下問する。
ランゲラーゲは、突如として身体の奥底からの激しい衝動に襲われた。
マグマのように熱いものがほとばしってくる。
ランゲラーゲは、若者を立たせた。
継ぎ接ぎだらけの質素な麻の服の下には、山野を日々駆け巡り鍛えぬかれた野生の鹿のごとき筋肉。
一切の無駄がない肉体。

ランゲラーゲは、若者の筋肉を掴んだ。
程好い弾力が伝わる。服を脱がせると、血の通った彫像のようだ。
ランゲラーゲの逸物は怒張した。身体にぴっちりした上等の仕立ての乗馬服が、いささか窮屈になる。
太陽が強く二人の男を照らす。
ランゲラーゲも文明の拘束具を剥ぎ取った。
野生の交歓が始まった。
本能の肉体のぶつかり合いには、言語という障壁は存在を許されない。
ランゲラーゲは、激しく滝のように若者を突き上げる。
若者の未開の地は、荒々しく拓かれる。
歓喜の声が木々を揺らすのだった。

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