地球最後の24時間
「あの、あなたたちのお名前は?」

 エンジンをかける俺たちに彼女が尋ねた。

「俺は水島真樹夫。あいつは……」

「浅野藤吉っす!」

 手を挙げて答えるあさきちの姿にまた笑いを見せた。

「わたしはひろみ。橋本ひろみ! 侑海、お別れを言いなさい」

 抱きかかえられた侑海と握手する。その小さな手は俺の中指を掴んでなかなか離さなかった。続いてあさきちに挨拶すると、侑海はいきなりその強面の頬にキスをした。

 あっけにとられて言葉を返せないあさきちに代わり、俺が声をかける。

「侑海ちゃん、俺にはないの?」

 その言葉にはいたずらっぽく笑顔を返すだけだった。
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