空の少女と海の少年


視界が霞む

呼吸が上手くできない

足が震える


それでも、春と海斗は
繋いだ手を離さなかった

痛いぐらいに手を握った

それだけ

それだけなのに
心は落ち着いて、瞳からは涙が溢れる


前に突き出した手を閉じて
拳を握り締めると同時に
2人は最後の言葉を叫んだ


『浄花満開!!』


虹色の光が弾け飛んで楽園に溢れた

眩しい程強い光なのに
どこか優しい光


その光は空と海を通じて
天界も魔界も人間界も照らし
地面を覆っていた大樹の根を浄化する




霞んでいく視界の端で
桃色の花びらが落ちるのが見えて
春と海斗は意識を手放した


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