空の少女と海の少年


「まあ、春は¨色¨があるんだから、私達と同じよ」

「そうだよっ!……ほらっ!」


春は目を閉じて意識を集中させ
そして、ゆっくりと目を開いた

さっきまで焦げ茶色だったその瞳が
空のように澄んだ水色になっていた


能力者の証とも言えるのが瞳の¨色¨
能力によって色が決まるらしいが
まだまだ知られていない能力もある

春の空色もそのひとつ


「……春。こんなとこでやって人に見られたらどうするのかしら?」

「わわわっ」


奈々が黒い笑顔で微笑むと
春は慌てて瞳の色を戻した


「奈々の言うとおりだよ楠木、見つかったら学園に送られちゃうだろーが」

「誰もいなくて良かったな」


陸と海斗が笑いながら言うと
春は、ん?と後ろを振り返った

後ろには誰もいない
春は首を傾げる


「んー……」

「どうした?」

「何でもな……ああ!?」


春は腕時計を見て叫んだ

時計の針は9時10分を指している


「遅刻だあ!!」


春は海斗の腕を引っ張ると
もの凄い速さで走り出し
奈々と陸も笑ってその後を追いかけた


そしてもう1人

4人の後を追い掛ける男がいた


_
< 8 / 652 >

この作品をシェア

pagetop