スタッカート
―質問に質問で返すなって習わなかった?

そう言って不敵に笑った彼の表情と、きらりと光る銀のピアスが蘇る。

そっか。彼も軽音部の部員なんだよね…。


「ま、初めはとっつきにくいヤツだけど、基本いいヤツだかさ、仲良くしてやってね」

そう言って、束になったチケットとはさみを持ち、ハチさんは椅子から立ち上がって。
大きくのびをしたあと、にんまりと笑って言った。


「さあて。そろそろいいかな。あの余裕のない馬鹿も、さっきよりかは落ち着いただろうし」


…余裕の無い馬鹿?


それがいったい誰のことを指しているのかわからず首を傾げた私に、ハチさんは悪戯っこのような笑顔を向けてきて、言った。


「あとひとつ、お願いしてもいいかな?」



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