スタッカート
視線に耐え切れなくなった私が、手を止めて顔をトキに向けると、案の定目ががっちり合う。


トキの鋭い目に見つめられ、心臓をつかまれたような気持ちになり私が固まっていると、トキがぼそっと呟いた。


「…おもしろくねえ」


そう言い、トキは一瞬寂しそうな悲しそうな目をして、私から目をそらした。

なにが、と聞き返すと、ため息をついて立ち上がった。



「からっぽな音だ」


そう言って、自分がでてきた窓にゆっくりとした足取りで向かい、肩に中途半端に下げられていたかばんをかけなおし、窓のさっしに足をかけて、外に視線を向けたまま続けた。



「…音が死んでる。技術がどうとかは俺にはわかんねえけど…お前、そんなんで弾いてて楽しいか?」
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