1ページ完結短編集
僕とにゃー
ざぁーざぁー…


雨が降ってるなか、僕は傘をさしながら歩いていた。


ぴちょん…ぴちょん…


水溜まりに足が入るたびに音がする。



心地いい音だ。
子供の頃に長靴を履いてぴちゃぴちゃ歩いたもんだ。


そんな雨のなか、にゃーと鳴き声が聞こえた。


ざぁー…ざぁー…にゃー…ざぁー…


周りを見回すと、そこには子猫がいた。

おそらく捨てられてしまったのだろう。


僕の家では、動物は飼えない。

可哀相だな…


にゃーにゃー鳴く子猫をそっと抱き、「大丈夫だよ。いつか、優しい飼い主がみつかるよ。それまで我慢してなさい…?」


そう言って猫をダンボールに入れ、傘をあげた。


とても優しい飼い主に出会うことができるように願いを込めて。




数週間後、そこには子猫はいなかった。


拾われたのかな?



そう考えながら僕はその前を通りすぎた。


バイバイ…元気でね。子猫ちゃん
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop