つま先立ちの恋
「ボールを顔面キャッチするヤツって本当にいるんだな」

「るっさいなぁ」

「すごかったぞ、遠くから見てても」

「誰のせいだと思ってんだ…」

「お前がボーッとしてるからだろ?」

「だから、誰のせいだと…!」

反発して起き上がろうとしたけど、まだ頭がふらふらしていた私。そうしたら、

「いいから寝てろ」

和泉の大きな手のひらが目の前に翳されて、そのまま額を押された。私はまたベットに沈む。

「無理すんな」

「いたっ!」

和泉が私の額にタオルを置いて、その上から軽く小突いてきたので、私は痛くもないのに大袈裟に言ってみる。

「バーカ。」

「バカって言った方がバーカ」

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