つま先立ちの恋
話しながらシロ先生は私の手の中にあるポッキーを食べ続けていた。ずっと食べている。そんなにお腹すいてたんだ。

「孫は部活、入ってへんのか?」

「中学まではソフトボール部でした」

「あぁ、わかるわ。頭より体動かす方が好きなタイプやな」

「わかりますか?」

「わかるわかる。んで、今、悩んでるやろ?」

「……なんでわかるんですかっ?」

ワンテンポ遅れて立ち上がる。あまりにもサラッと言われてしまったので、危うく聞き流す所だった。するとシロ先生は今度は私の顔を指差しながら、

「俺もスランプん時、同じ顔してるからな」

シロ先生の指先を見つめて思わず寄り目になってしまう私。そのまま両手で顔をサンドイッチする。

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