つま先立ちの恋
シロ先生の目はまっすぐでとてもキレイだった。まるで同じ歳の男の子と話してるみたいな気持ちになってくる。

「先生はスランプの時、どうするんですか?」

「俺? 走る。ひたすらがむしゃらに、もう足上がらんっちゅうくらいに走るわ」

「えっ゛?!」

思いきり顔に出してしまった。だけど、シロ先生は少しも表情を変えないまま、

「そういう時は考え込まんと走るんが一番やねん。限界まで体動かして、悩み事全部体から追い出したるんや。何も考えんと、とにかくひたすら走るんや」

その優しい細い目にのぞきこまれて私は一瞬身構えてしまう。だけど、目を逸らすことまではできなかった。

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