つま先立ちの恋
‡12月
二学期の終業式、私は和泉を呼び出した。体育館裏に。

…といきたかったけど葵ちゃんにダメ出しされたので、仕方がないから教室に最後まで残るように言っておいた。

明日はクリスマスイブイブ。みんな早く準備をしたくて、今日だけはSTが終わるとほとんどの生徒が早々に帰って行く。葵ちゃんとパペちゃんも、いつものドーナツ屋さんで待ってるからと言って、先に帰って行った。


「…何、話って」


他に誰もいない教室で、机に座った和泉が窓の外を見ながら言った。

「…うん。」

今更ながら緊張してくる。

もしかしたら私、これから赤っ恥かくかもしんない。だって和泉はもう私のことを好きじゃないかもしれないから。だけど、そう考えることは逃げることだ。私は逃げないって決めたんだから。

そう心を決めて頭を大きく振ると、私が口を開くよりも先に和泉が言った。


「…あいつのこと?」


それはヒカルちゃんのことだと、すぐにわかった。

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