姉弟道
「あの…」

その場から離れようとする杉里さんを、俺は呼び止めた。

杉里さんは俺の方に振り返ると、首を傾げた。

「リコ姉ちゃんはあきらめても、和菓子作りだけはあきらめないでください」

何を思ってしらけたことを言っているんだ、俺は。

どっかのアイドルグループのセリフじゃねーか、おい。

しらけたことを言った俺に杉里さんは微笑むと、
「それは大丈夫です。

和菓子は好きなのであきらめません」
と、言った。

そこへ、すみれさんが俺たちの前にやってきた。

「私も梓くんをあきらめる」

すみれさんが言った。

「あんなに楽しそうな梓くんを見てたら、あきらめるしかなくなったわ」

未だにケンカ中のリコ姉ちゃんとアズにぃを見ながら、すみれさんが呆れたように言った。
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