姉弟道
樫野は少し目を伏せると、
「梓くんに振り向いて欲しかったの」
と、呟くように言った。

それから俺の顔を見ると、
「私を見て欲しかったの」
と、言った。

「今日再会できて、すごく嬉しかった。

梓くんは、何も変わっていなかったから。

でも好きな人がいることと言うことも、変わらないんだね?」

樫野が泣きそうな声で言った。

そんな樫野に、俺はどうすればいいのかわからなかった。

いきなり、告られたからって言うのもあるけれど。

「だから絶対にあきらめない!

梓くんのことを絶対にあきらめない!」

宣言するように言うと、樫野は入り口のところにいるリコの方に視線を向けた。
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