姉弟道
でも梓くんの気持ちは、いつもリコちゃんの方に向けられていた。

友達と話している時もそうだった。

必ずと言っていいほどに、彼の口からリコちゃんの話題が出てきた。

「リコがさー」

梓くんの口からリコちゃんの話題が出るたびに、私はつらくなった。

自分の思いが言えなかった。

だって、言えないんだもん。

リコちゃんが好きな彼に、自分の気持ちが言える訳がない。

結局その思いを隠したまま高校を卒業した。

そして4年経った今、梓くんとお見合いで再会した。
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