~天使はふたたび舞い降りる~
涙の滴
家の玄関を開けた。

奈楠がなきべそをかきながら
立っていた。


土下座した。


「ごめんなさい。
本当にごめんなさい・・・」



床に額をこすりつけた。

「奈楠、顔あげて。」


「あげられない。
申し訳なくて・・・・・
なんてことを・・・・・
仕事は大丈夫だった?」





「うん。
おとがめなし。
でもおかしいんだ。
あの林がおとなしく
ひきさがるなんて嘘みたいだ。」



奈楠はすすり泣く。



「だいじょうぶだから
奈楠は何も心配するなよ。」




「申し訳ありませんでした。」



また奈楠は深く頭を下げた。




「やめろって・・・」


俺は奈楠を抱きあげた。
今にも消えてしまいそうな
奈楠を抱きしめた。



「気にするな。
わかったな。」



奈楠は何も言わなかった。
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