~天使はふたたび舞い降りる~
春のおとずれ
奈楠を失って
俺は脱力感に襲われた。

ただ仕事場と家の往復で
家に帰ると
何もせずただ酒を飲んでいた。


奈楠が俺に握らせた
マッチを見つめた。


次の休みこそ


そう思いながら時は過ぎていき
いつのまにか
雪どけが始まり
真っ白かった雪が
薄汚れて路肩に残っていた。



この食堂には
奈楠が話してくれた
少年がいるんだろう。


奈楠を癒してくれたように
俺の心も癒してくれるだろうか



春の日差しが
俺の背中を押してくれた。




次の休み
俺は車を走らせて
奈楠が行くように言った
ドライブインに向かった。
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