鬼畜な俺様執事


黙り込む俺に、雅はもう何も言わなかった。



表情からは、雅が一体何を考えているのか、全く伺いしれない。



俺の視線に気付いた雅は、見つめ返してくる。



「何かしら?」



その意志の強い瞳は、俺に向けられたものではなく、俺の中の綾香に向けられたものであるかのような錯覚に陥る。



「いえ」



俺がそう言うと、車内は沈黙で満たされた。

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