鬼畜な俺様執事


「そうじゃないよ、朔夜」


しまった──


慌てて言ったけれど、もう遅かった。



朔夜は仮面を被ってしまった。



私のところに執事に来たばかりの頃の仮面。



「わかりました、ではまたいずれ」



そう言って、車に乗り込んでしまう。



「朔夜っ……」



私の呼び掛けも虚しく、朔夜は去ってしまった。



そんな私たちのやり取りを、無表情に見つめる岡谷さんと、私を残して。


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