花音ちゃんと私
花音ちゃんはノートを渡してくれなかった。

「ね、私、野中花音。同じクラスだから知ってるでしょ?」

どうしたっていうんだろう。私はその時、初めて彼女に対して興味を持った。

「私のこと、花音ちゃんって呼んで」

彼女が一向にノートを返してくれなさそうだったので、私は仕方なく呼んだ。

「花音ちゃん」
すると花音ちゃんはにっこり微笑むと、やっと、ノートを返してくれたのだった。
翌日から花音ちゃんは、気付くと私の視界のなかに立っていた。
そして徐々に私との距離を縮めていき、いつの間にか私の隣にいるようになった。
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