聞いて、姉貴





「待って、陸!」


ゴールまであと少し。

悲鳴をあげはじめた足首を引きずりながら歩いていると、後ろから姉貴の声がして。



「私も、走る」


そう言って、俺の肩を支えながら一緒に歩き始めた。


今は並んだ、俺と姉貴の身長。


近くに感じる姉貴の吐息。

姉貴の肌の温度。







───ドキッ。





何かが弾ける音。



それは、痛みと自分との戦いの中で芽生えた、初めての感情だった。






< 11 / 180 >

この作品をシェア

pagetop