聞いて、姉貴



「何だ、これ」


なんで俺の写真が?


しかもよく見れば、

『第27回 ミスターグランプリ ファイナル進出者』

なんて文字がデカデカと書いてある。


「おめでとう陸!最終選考まで残ったね!」


まるで自分のことのように、涙を浮かべて喜ぶ姉貴。

いや、ちょっと待て。


「…俺、聞いてないんだけど」


雑誌の存在は知っていたが、まさかそのモデルオーディションに勝手に応募されていたとは。

まさに寝耳に水の話だった。



「えへへー。あたしが応募しといたの!」


「えへへ、じゃねぇ!」


誰がモデルなんか。
絶対に御免だ!
今すぐ撤回してくれ!


そう叫ぶと、姉貴は急に眉を下げて俺を見る。

頼むからそうゆう顔、しないでくれ。


俺は相変わらず、姉貴の涙には弱かった。



< 43 / 180 >

この作品をシェア

pagetop