聞いて、姉貴
「…ごちそうさま」
「ーっ姉貴!」
意を決して、俺は立ち上がろうとする姉貴を呼び止めた。
「…何」
「あの、さ…昨日は、その……」
──謝らなければ。
頭では分かっているのに、いざ言葉にするとなるとなかなか難しいもので。
視線を泳がせる俺を、姉貴の冷たい視線がとらえている。
「…用がないなら話しかけないでくれる」
「ちがっ…」
必死の制止も虚しく、呆れたようにリビングを出ていく姉貴。
「…はぁ、」
何やってんだ、俺は。
静かなリビングに、溜め息だけが漏れた。