チェリーをあげる。

「渡さぁぁあん…!!」




思わず声を大に叫ぶと、




「あら、目が覚めた?」




知らない女の人の声がする。




「え…」




我に返れば、


私は固いベッドの上に横たわっていて、


看護師さんらしき服装をした人がこちらに近づいてきた。




「大丈夫?随分うなされていたみたいだけど…」


「えっ…」




なんだ、


私、夢を見てたのか…。




「あの…、私どうしてこんなところに…?」




体を起こしながらたずねると、彼女は首をかしげた。




「何も覚えてないの?」


「はぁ…」


「そう」




看護師さんは私の右腕にてきぱきとチューブを巻くと、ささっと血圧を測り出した。




「あなた事故に遭ったのよ」


「え…?」
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