〇●ベリージャム●〇

俺は頭がいっぱいになっていた。




しかも気が付いたらもう家の玄関にいた。




「おかえりー。稜哉あたしよりタイム計測早く終わったのに帰ってくるの遅かったね。」




姫菜が機嫌良さそうに俺に近づいてくる。




「っあそうそう。あたしリレーメンバーに選ばれたから。」




姫菜は微妙な表情をしていた。




「嫌なら嫌って言えばよかったじゃん。」




なんとなく姫菜の気持ちが読み取れてしまった。




それが嬉しくて口の筋肉が緩む。




その顔を見て軽く笑いながら姫菜は「稜哉キモイ。」とかって言ってくる。




姫菜から言われなれているからあまり気にしない。




「ってかなんでわかったの?」




「何が?」




「あたしがリレーメンバーに選ばれて嬉しくないこと。」




「なんでって……そりゃ毎日姫菜のこと見てるから?」




自分でも恥ずかしいと思った。




なぜこんなセリフをさらっと言えたのか俺にもわからなかった。




ってか俺今かなり顔赤くなってる。




鏡見なくてもわかる。




姫菜にこんな顔見せられなくて思わず下を向く。




「俺……部屋に行くから」




そう言ってその場から逃れた。


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